即決裁判制度の問題点露呈
即決裁判の制度では、原則、起訴後14日以内に初公判が開かれ、その日に判決が言い渡されることになっています。
今回の例では、懲役一年(執行猶予3年)と決して軽くない罪だと思われますが、この程度の犯罪も即決裁判制度に乗ってくるようです。
被害弁償しなかった場合に、執行猶予取り消しもありうるなど、実効性の担保をどうするかは今後の課題です。
読売新聞より抜粋 -------------
即決裁判で猶予判決の男、被害弁償せず不明…懸念が現実に
タクシーのフロントガラスなどを壊したとして器物損壊罪に問われた男(27)が4月、神戸地裁であった即決裁判で執行猶予付きの判決を受け、被害弁償をしないまま行方不明になっていることがわかった。
執行猶予が必ずつく即決裁判には、導入前から専門家らの間で「被告が罪と向き合わず、被害弁償もしなくなる」と危ぶむ声があり、懸念が現実となった格好だ。
即決裁判は軽微な事件の捜査、公判を省力化する目的で2006年10月にスタート。被告が起訴事実を認めるなど有罪が明らかで、執行猶予が見込まれる事件を対象に検察側が申し立てる。原則、起訴後14日以内に初公判が開かれ、その日に判決が言い渡される。
裁判記録では、男は今年3月、タクシーのボンネットやフロントガラスを壊したとして、現行犯逮捕された。被害額は約30万円。捜査段階で容疑を認めて被害弁償する意向を示し、即決裁判手続きで起訴された。
4月の初公判では、弁護人も弁償を約束。地裁は即日、懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡し、男は釈放されたが、その後、連絡がつかなくなった。
(中略)
通常の刑事裁判では、判決まで執行猶予が付くかがわからず、被告が情状を有利にするため判決言い渡し前に被害弁償に応じる傾向が強い。
これに対し、即決裁判では、弁償したかどうかにかかわらず判決が言い渡される。このため、制度導入の際、司法制度改革推進本部の検討会で「被告が罪に向き合わなくなる」との指摘があり、検察内部でも「被害弁償が進まなくなる」との意見があった。
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有罪が明らかな場合の迅速な制度として意義はあると思いますが、最終行に有るように「被害弁償が進まなくなる」点をフォローする制度の見直しが必要なように思います。
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