憲法違反判決と上告
マスコミでは、憲法違反の判決と騒いでいますが、あくまでも傍論であり判決主文で宣言しているわけではありません。
この裁判官、3月末で辞職していらっしゃるようで、最後っ屁のような判決を書いて去って行ったようです・・・・・
後任の裁判官も、この判決文を読むのは嫌だったかもしれません。
asahi.comより抜粋 ---------
「空自イラク派遣は憲法9条に違反」 名古屋高裁判断
自衛隊イラク派遣差し止めなどを求める集団訴訟の控訴審判決のなかで、名古屋高裁(青山邦夫裁判長)は17日、航空自衛隊が首都バグダッドに多国籍軍を空輸していることについて「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示した。
ただ、結論は原告側の敗訴とした。
各地で提起された同種訴訟で違憲判断が示されたのは初めて。
「実質的な勝訴判決」と受け止めた原告側は上告しない方針を表明している。
勝訴した被告の国側は上告できないため、今回の高裁判決は確定する見通しだ。
(以下省略)
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以下は自分の勉強も兼ねて記録。
上訴の利益は、控訴審判決によって不利益を受けたもの、すなわち敗訴したものにのみ発生する。不利益を受けていない者に、不服申し立てを認める必要は無いからである。
具体的には、本案の申し立てと判決主文を比べて、判決主文で与えられたものが少なければ、そこに上訴の利益を認める。(形式的不服説・通説)
そして、判決主文には不服が無く、判決理由中の判断のみに不服がある場合には、上訴の利益を肯定されないというのが判例である。
本件においては、判決主文では国側の全面勝訴であり上訴の利益がないため国側からは上告できない。
判決理由中での「違憲判断」は蛇足であるとの批判が強いが、私も同意見である。
小泉総理の靖国神社参拝を、傍論にて違憲とした判決も、今回とまったく同じ理由で上訴して取り消すことが出来なかった。
下級審においてこのような判決が何度も出されることは、何か司法権の本質をはずしているように思われる。
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Comments
別の所にも書いたんですが,厳密に言うと今回の判決,部分的にですが,国側も上告できるんじゃないかと思います。
というのは,確かに国賠訴訟の部分は主文で棄却されているので国側に上訴の利益はなくなると思うんですが,差止と違憲確認の請求については却下判決で終わっていて,却下判決に上訴する場合には上訴の利益があるとするのが判例の立場ですから,上告自体はできるんじゃないかと。
ただ,そうなると行政訴訟の訴訟要件解釈にについての従来の国側の立場と矛盾してしまうので,実質的には上告できない,ということなんじゃないかというのが私の理解するところなのですが,いかがでしょう。
Posted by: kappamark | April 20, 2008 01:46 PM
kappamark先生
コメントありがとうございます。
最近ご無沙汰です。
この傍論ですが、棄却判決の部分にくっつけて述べたんだと理解しておりました。
確かに、却下判決には棄却判決を求めて上告できるはずですが、傍論を取り消す効果があるのか、利益はあるのかと考えると、上告はしても無駄のように思います。
得意じゃないので行政法・・・・・ (汗)
Posted by: owner | April 20, 2008 05:33 PM