企業の、労働保険料・社会保険料の負担を回避し、その分を一部雇用者にキックバックする仕組みでよく使われるのがこの「偽装請負契約」です。
実態は、労働者そのままなのにもかかわらず、個人事業者として届出させ、業務を請負契約で行わせるものです。
労働者を請負にすることにより、労災保険料(会社負担賃金の0.5%以上(業種による)減)、雇用保険料(会社負担同1.05%減 労働者負担0.8%減)、厚生年金保険料(会社負担同約7.0%減 労働者負担約7.0%減)、健康保険料(会社負担同4.1%減 労働者負担4.1%減)、合計すると、会社負担分12.65%以上減、労働者負担分11.9%減 (総合計24.55%減)となります。
これを全部不払いにして、代わりに労働者に1割程度手取りを増やしてあげようとする仕組みです。会社としては、会社負担分の12.65%が丸々浮いてくるので大変美味しく、労働者も若干の手取りアップがあり、その反対の不利益をよく理解していない場合や、会社に無理やり押し込まれた場合などにこの方式が取られるようです(もちろん脱法行為で有ります)
asahi.comより抜粋 -----------------
http://www.asahi.com/job/news/TKY200607300429.html
労働者派遣法などに抵触 偽装請負とは?
<偽装請負とは?> メーカーなどの企業が、人材会社から事実上、労働者の派遣を受けているのに、形式的に「請負」と偽って、労働者の使用に伴うさまざまな責任を免れようとする行為。職業安定法や労働者派遣法に抵触する。職業安定法には懲役刑もあるが、適用されたことはほとんどない。
製造業への労働者派遣は04年3月に解禁された。これ以降、メーカーが他社の労働者を指揮命令して使うには、労働者派遣法に基づいて使用者責任や労働安全上の義務を負う派遣契約を結ぶ必要があるが、こうした責任・義務を負わずに済む請負契約で請負労働者を使う「偽装」の事例が後を絶たない。
本来の請負は、請負会社がメーカーから独立して仕事をする。自前のノウハウや設備を持ち、そこで生産した商品を発注元に納めるのが典型だ。しかし、偽装請負では、請負会社は労働者をメーカー側の工場に送り込むだけで、仕事の管理はメーカー側に任せている。メーカー側はこうした立場を利用し、自社の社員や派遣労働者と同じように仕事を指図したり、勤務状況を管理したりしている。
(以下略)
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共同通信ニュースより抜粋
キヤノンは偽装請負を解消 労災や保険の責任明確化
キヤノンは31日、請負業者が労働局の許可なく工場などに人材を派遣する「偽装請負」を年内に解消する方針を明らかにした。偽装請負は、安全管理や社会保険契約に関する責任の所在が不明確な上、労働者のリストラにもつながりかねないと判断した。
全国の労働局が2005年度に、キヤノンを含む約358社に偽装請負があると文書で指導していた。それを受けキヤノンは8月1日に対策委員会を開き、偽装請負の可能性がある部署を、人材派遣へ切り替えるほか、請負業者に保険加入の指導を徹底することにした。2万人以上の請負・派遣労働者から数百人を正社員雇用する。
(以下略)
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市場原理があまりにも行き過ぎると、一番弱い労働者へシワ寄せが来ることは自明であり、それを未然に防ぐ労働基準法他であるべきなのですが、脱法の話は尽きないようです。
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