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March 29, 2006

男児割りばし事故死 医師に無罪判決

 この様な事件をみると、医師の責任をあまりにも強く追及することは、果たして世の中にとってプラスになるのだろうかと、いつも考えてしまいます。

 産経新聞より抜粋 ------------------ 

 男児割りばし事故死 「救命困難」医師に無罪判決

 東京都杉並区で平成十一年、都立高校教諭、杉野正雄さん(54)の三男、隼三(しゅんぞう)ちゃん=当時(4つ)=が転倒し、割りばしがのどに刺さって死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた杏林大学付属病院(東京都三鷹市)耳鼻咽喉(いんこう)科の医師(当時)、根本英樹被告(37)の判決公判が二十八日、東京地裁で開かれた。川口政明裁判長は「診察を怠った過失はあったが、頭の状態に気づいたとしても救命可能性は低かった」として無罪(求刑禁固一年)を言い渡した。 

 川口裁判長は判決の中で「医師には患者が出すサインを見逃さないことが求められる」との異例の「付言」をし、医師に高いプロ意識を要求した。

 判決理由で川口裁判長は「転倒して割りばしがのどに刺さったと聞けば、小脳にまで達したことは想像できなくはない」と指摘。その上で「医師として基本的、初歩的な作業を怠った。サインを見落とし、真摯(しんし)な医療を受けさせる機会を奪った」と述べ、隼三ちゃんに問診するなどの措置をとらなかった根本被告の過失を認定した。
 (以下略)
 ------------------------------

 斯様な救急医療現場に従事する医師は、どうしても重大な患者にあたる可能性が高くなり、そして一瞬の判断ミスで救命に失敗してしまう可能性が高くなると思われます。その際に、禁固刑や莫大な賠償金を取られる可能性が有るとしたら、誰が救急医療を進んで引き受けるでしょうか?

 経済合理性から言うと、もし報酬が同じであれば、最も医療事故の発生し難い業務に多くの医師がシフトしてしまうと思います。

 テレビでも言っていましたが 「医師不足」⇒「過重労働」⇒「医療事故」⇒「救急医療を敬遠」⇒ の負の循環が起こっているそうです。

 救急医療医師離れが深刻化する中、国や地方公共団体がバックアップして、損害賠償のフォロー制度を作るとか、危険手当を厚くするとか、法律行政両面から、救急医療に従事する医師を支えるような制度改革をして頂きたいと思います。


 もちろん今回の事故も、救命可能性についてはきちんと調べる必要があることや、医師の過失が全く無いとは思っていないことは付言しておきたいと思います。


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Comments

 プロとして医師をやってるのなら、プロの仕事をしなさいと言ってるに過ぎません。真剣に仕事をしても失敗する可能性はどんな名医にでもあります。

 失敗を責めたてているわけではなく、やるべきことをやらなかったことに憤りを覚えているのです。その上で、法律という不十分な公器で裁けない事案でも「医師本人の心」は彼自身によって裁かれているはずだから「強がりを言ってないで素直に反省すべきを反省せよ!」と言ったまでです。
 自分には嘘つけないでしょう。「あの時一歩踏み込んで、こうしていれば・・」と、本人が一番よくわかってるはずです。

 「救急医療現場に従事する医師は、どうしても重大な患者にあたる可能性が高くなり、そして一瞬の判断ミスで救命に失敗してしまう可能性が高くなると思われます。その際に、禁固刑や莫大な賠償金を取られる可能性が有るとしたら、誰が救急医療を進んで引き受けるでしょうか?」
 とのことですが、ご意見には賛同いたしかねます。

 命の現場に「経済合理性」は馴染まないと思います。報酬と実務と責任のバランスは、確かに現状に合っていないのかもしれません。しかし、医師を目指して国家資格をパスしてそれを職業としている以上現状の不満足を患者に向けないで欲しいし、嫌ならそもそも職業として医師を選ぶべきではないのではないですか?

 本件の場合、例え割り箸が小脳にまで達したことを発見できていたとしても結果として救命できなかったのだから「医師の責任」ではないだろう。つまり「どっちみち助かってないのだから」医師の救命措置があってもなくても一緒ではないかという「とんでもない判決」なのです。
 治療しても助からない命は放っておくのですか? しかも本件の場合、「助からなかったであろう?」ということは後からわかったことです。

 現場でやるべきこと(割り箸の長さ、事故状況等の把握とレントゲン撮影など色々考えられます)をきちっとやった上で「割り箸が小脳にまで達しており、命にかかわります。」と説明できていたら、そしてそれがわかった上で救命措置がほどこされていたら、結果として隼三(しゅんぞう)ちゃんが亡くなったとしてもご両親が根本医師を訴えることがあったでしょうか?

 早稲田大学法科大学院で学ばれているとか。早稲田魂、在野精神も一緒に学んでいただければと存じます。そして人の心のわかる弁護士になってください。時は違えど同窓の学び舎に席を置いていた者として気になりましたので一言申し上げました。

Posted by: Shibu_yan | April 04, 2006 at 03:47 AM

 コメントありがとう御座います。

 議論がかみ合っていないようなので付け加えます。

 まず、過失は認定されていてそれに対して異論を申しておりません。過失とは、なすべきことを為さなかったことに対する非難です。「強がりを言ってないで素直に反省すべきを反省せよ!」と言う台詞は、裁判官も言ってますし私もそう思います。あえて反論しているところは無いと思います。
 
 「過失致死罪は、過失か因果関係のどちらか一方が認定できなければ、犯罪不成立なわけ」ですから、今回は過失はあるが因果関係が無いという判断を裁判官がしていますが、それをとんでも判決と仰るのは、違う土俵で考えてらっしゃるように思えます。

 仰る在野精神と、法律の考え方は相容れないところがあるのかもしれません。私の理解不足かもしれませんが。

 嫌なら医師を辞めろ理論には、全く賛同できません。真剣に頑張っている医師のBLOG等も今回随分拝見しましたが、とてもそんな台詞は出ませんでした。

Posted by: owner | April 05, 2006 at 02:27 AM

 議論してるつもりはありません。私の子だったら、この医師を許さない。単純にそう感じてるだけのこと。

 法律論も興味ありません。

 医師も法律家もその持てる力を存分に発揮したところで人間のやること、間違いもあるでしょう。

 お互い、自らの責務でやるべきプロの仕事を真剣にやっていきましょうや。それでも間違いを起こしたらまず謝る、それでいいんじゃないですか?

 在野精神は忘れてください。持ち出したのが間違いでした、説明できません。

 どうか心温かい弁護士になってください!

Posted by: Shibu_yan | April 06, 2006 at 03:49 AM

以前、TBしていただきましたロースクール生になりましたアズキです。その節はどうもありがとうございました。以前お返しのTBを二度にわたり、させていただいたのですが、TBがうまく出来ませんでしたのでコメントさせていただきました。
私の感じるところでは、今回の裁判例などが、医療過誤に関して医者にプレッシャーとなるという側面は確かにあるかとは思います。しかし、遺族の感情を考えれば、相手が医者であっても、例えば教師やその他の職業であっても、ミスがあったと感じれば責任を追求するのはやむを得ない行動だと思います。業界全体のバランスを考えると、裁判の影響というのは無視できない部分もあるかとは思いますが、まずは個々の問題に注目し、一つ一つを解決してゆくことが、逆に業界全体の前進へとつながっていくのではないでしょうか…。

Posted by: アズキ | April 07, 2006 at 10:50 PM

 コメントありがとうござます。
 ココログ調子悪くて申し訳有りません。
 そちらのBLOGにコメントお返ししておきました。
 今後とも宜しくお願い致します。

Posted by: owner | April 09, 2006 at 02:59 PM

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