就業規則ビジネス②
就業規則のビジネスで、最近脚光を浴びているのが、「退職金規定」見直しビジネスです。
話せば長くなるのですが、「適格年金」という、雇用者への退職金積み立ての為の掛け金を、全額損金で落とせる制度が随分前(昭和37年)に成立したのですが、高度成長期の企業がこぞってこれを導入し、利益を圧縮しつつ退職金を積み立てるようになりました。
ここだけ見れば良い制度なのですが、近時の低金利(予定利率はなんと5.5%)で予定された積立額に不足が生じ、不足分を追加で企業が拠出することになり、会社の収益を大きく圧迫しています。また、この制度の導入に際して、就業規則で退職金の規定を作る必要があったのですが、今から考えればかなりの大判振る舞いの退職金制度になっている場合が多く、とても払えないような退職金が既に発生している会社がままあります。
退職給与引当金は、損金算入が認められなくなったので、辞めるまで引当金を積むことが出来ません。そして辞めた瞬間に数千万円の退職金の支払いが発生し、中小ではそれだけで経営が傾くことになります。特に、団塊の世代が、退職時期を迎える現在、中小企業の経営を脅かしています。
そこで、(今までの過去債務は本当は無理なのですが)退職金規定を見直し、払える程度の増え方にするような就業規則の見直しにニーズがあります。社長が鈍感で、退職者が出た時にお金が無いので、払わないで放置して誤魔化そうとして、労働者に訴えられて青くなるケースが散見されますが、就業規則に明示された退職金は労働者の権利なので、訴訟で負けて身包み持って行かれる場合もあるようです。
全国でこの適格年金に入っている会社が9万社あります。これだけのリスクを背負わせて、この制度は廃止になることに決まりました・・・・・・
社長さん、あなたの会社は大丈夫ですか?
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Comments
たきさま
確かに「退職金規定」は、ひとつのビジネスチャンスですね。
このことについては、先日の「就業規則セミナー」でも受講生の方にお話をさせていただきました。
「追い風が吹いているよ。」ってね。
個人的にも、監督署にも、退職金規程の見なおしの相談はとても多いのです。
『退職金規程見なおし』で一番気を付けなければいけないのが『不利益変更』ですよね。
実は監督署は、退職金規程の変更が不利益がどうかは判断することができません。
不利益変更かどうかは、民事に委ねられることになるのですが、
監督署が判断すると思っている会社さんがとても多いですねぇ。
監督署は、例え不利益変更の就業規則でもあっても、様式が整っていれば受理をします。
受理をするだけで、「承認」したわけではないのですけどね。
今のブームは、もちろん適年です。ここ数年は続くでしょう。
適年の解約返戻金は従業員さんの口座に入るわけですが、そこからの云々、というご相談が多いですね。
これ以上は言えませんが。
これから退職金を巡る訴訟は増えてくると思います。
退職金は金額が大きいので、従業員さんも泣き寝入りはできませんものね。
えーと、すいません。ラーガーマンさんに伝言させてください。
ここをご覧になっているかどうかわかりませぬが。
ラガーマンさん。ブツをお送りするのが遅くなって申し訳ありません。
忘れているわけではありませんが、少し手直しをしたいと思いまして。もう少しお待ちくださいね。
Posted by: 沙理 | April 08, 2005 12:33 AM
沙理さま
コメントありがとうございます。
流石にらがー先生はここ読んで無いような(汗)
Posted by: owner | April 08, 2005 01:05 AM
たきさま
ご無沙汰しています。
京都のSGでご一緒でした日本酒大好き
skydog_kyotoです。
京都に来られていたのですね。
丁度そのときは「泡盛同好会」にでてました
がお会いしたかったです。
「退職金制度の見直し」についてはセミナー
開催もし、いろいろ取り組んでます。
そやけど経営者の方の腰は重いですね。
周りを見てからしか動けない人が多い!
動きを見ていると会社の質が想像できます。
制度として、適年の受け皿の弱さも災い
しているとは思うのですが...。
このままでは本当に「退職金倒産」という
文字が新聞紙上で踊ることも...!
早く、私に相談においで~と
叫びたい今日この頃です(笑)。
たきさんと企業動向等、情報交換でけたら
ええなぁと思っています。
ちなみに4/15、例の店で日本酒宴会
やります。では、では。
Posted by: skydog_kyoto | April 11, 2005 02:15 PM