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March 06, 2005

雇用保険3事業

 雇用保険3事業って、社会保険労務士の勉強をしない限り、普通の人には一生知ることの無い世界なのではないでしょうか?

 今朝の読売新聞より抜粋----------------------------
 民間企業の保険料でまかなわれている「雇用保険3事業」のうち、2003年度は約5億円しか利用実績のなかった「雇用機会の創出」などを目的とする助成金事業に対し、厚生労働省が来年度、その40倍にもあたる約200億円の予算を計上していることが、読売新聞の調べでわかった。昨年度実績の7~8倍の予算付けをしていた事業はほかにもあり、3事業を巡る厚労省の政策評価のずさんさが浮き彫りになった。
 国民の雇用改善のために厚労省が実施している「雇用保険」事業のうち、「失業等給付」が失業者への手当などを目的にしているのに対し、3事業では、失業者を出さないための各種助成金事業を行っている。
 3事業の財源は民間企業の保険料で、03年度は35種類の助成金事業などのため、4124億円が支出された。厚労省は来年度、24種類の事業などを実施予定で、そのために4772億円の予算を計上している。
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 雇用保険料の失業保険部分が労使折半なのに対し、「雇用保険3事業」は、別途企業のみが負担する雇用保険料で賄われています。上述のように、失業者を出さない、あるいは雇用を増やす目的で、特定の措置を取った企業に助成金と言う名目の補助金を出し、高齢者雇用や障害者雇用、新規雇用のインセンティブを与えています。

 こう書くと、すばらしい制度のようにも思えるのですが、実際は申請するための内部体制の整備や資料の収集など、制度が予定している中小の会社ではとても手に負えないような手続きが発生します。そこで社会保険労務士が代行して申請をすることになります(勿論有料で)。ただ、35種類の助成金の中でも、ある程度金額がまとまっていて、そこそこ貰いやすいものに需要が集中するため、上記のようなことが起きます。また助成金ビジネスは、これに特化している社労士も結構いて、成功報酬制で30%位のFEEを取っていると聞きます。(私はやっていません)

 制度が複雑なのと、「雇用・能力開発機構」の宣伝がへたくそで、表題のような感じになっているのは残念なことです。せっかくの制度なので、もう少し使いやすく・皆に知られるような制度にして欲しいものです。

読売新聞続き----------------------------------
 法政大学の五十嵐敬喜教授は「予算の消化率は行政評価に直結する問題で、実績が予算額を大幅に下回っているのは大きな問題」と批判。過剰な予算付けについては、「役人の天下り先となっている助成金の受け皿組織を温存しようという考えだろう」と話している。
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 これは、どうなんでしょうね?「予算を必ず全部消化すべし」というのは役所的発想で、別にニーズが無ければ余らせても良いように思います。「雇用・能力開発機構」を弁護する気は全くありませんが、助成金制度はどの位の需要があるか分からないところもあるので、この言い方は不適切だと思います。
 実際、「雇用・能力開発機構」は、旧労働省の天下り受け皿期間となっており、厳しいリストラが必要なのは言うまでもありませんが、それと予算の未消化とを同列に論じるのはいかがかと。


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